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【インタビュー】クラフト:フェリシモが福祉事業所などと取り組む「だれもがボーダーなくつながる未来づくり」

今回、お話を伺ったのはファッションや生活雑貨を中心に、さまざまなカタログ事業を展開する株式会社フェリシモの永冨さん。フェリシモでは、今から19年前より、CCP(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)の活動を行なっています。CCPは、「福祉事業所、クリエイターやメーカー、NPO、プランナーなど、たくさんの人が関わるものづくりを通して、だれもがボーダーなくつながる未来づくり」をコンセプトに、障がいのある方の個性や能力を生かした商品開発を行なっています。企業のCSR活動ではなく、事業として福祉事業所と向き合い活動する、CCPの取り組みから福祉事業所と一緒に仕事をすることについて広くお話を伺いました。

まずはCCPの活動について詳しく教えてください。

はじめは、「障がい者を納税者に」をスローガンに障がいのある方の仕事づくりを行なっている社会福祉法人プロップ・ステーションの竹中ナミさんとの出会いがきっかけです。そのコンセプトにすごく共感しました。私たちはものづくりのプロなので、商品開発のプロジェクトを社内で始めようということで、兵庫県をはじめ全国の福祉事業所さんに声をかけさせていただきました。

これまでは、革を染める作業や、手作りガラスなど、さまざまな福祉事業所さんと一緒にものづくりを行なってきています。

どういう流れで事業所さんとお仕事をしていますか?

基本的に商品の企画はフェリシモで行って、クラフトの部分を事業所さんにお願いしています。

最初は何をしてもらえるかが手探りでした。例えば、染物だったら、生地を染めておられる事業所さんに、革も染められませんかなどと提案しながら一緒に商品開発を行なっています。福祉事業所でつくられた商品だから、ではなく「これがいい!」「これがほしい!」と思って購入していただけることが大事だと思っています。

福祉事業所と一緒にお仕事をするメリットはなんですか?

まず、量産ではできない仕事の味わいがあることです。身近に「こうしてください」とか、「もっとこうやったらどうなるかな」とか、やり取りしながらつくっていくことができるので、すごく思いがカタチになりやすいです。また、小ロット対応できるところもメリットで、1回につき200~300個ほどをつくります。それ以上のロットになる場合は、他の事業所さんにもご協力いただきます。小ロットでの受注は大きな企業や工場ではできないので助かっています。

祉事業所とのお仕事で気をつけることなどはありますか?

気をつけることは、一つひとつ具体的に確認していくことです。仕様や納期、品質基準などを事前にしっかりと決めて一緒に仕事をします。福祉事業所ならではの一つひとつ違う手づくりの良さも、お客さまには「こういうふうに違いますよ」とちゃんと示す必要があります。とはいえ、まったく違う仕様や使いにくい仕上がりになったら、商品として成立しませんよね。このあたりの基準をきちっとお互いに具体的に決めていくことが大切だと考えています。

ふくしワザを活用してもらいたい、どういう企業さんに活用していってもらいたい、などはありますか?

最初はどういうことができるのかが分からないと思いますが、いろんなことにチャレンジされている事業所さんがたくさんあります。そのなかで、「これができるんだ!」ということをヒントにして、「じゃあ、これをお願いします」と、ぜひ1度、お仕事を依頼されることをおすすめします。きっとそこから広がりがあると思います。小ロットでできるとか、海外生産とは違って細やかな対応が迅速にできるとか、社会性を伝えられるとか、福祉事業所との仕事ならではのメリットがあります。福祉事業所とのお仕事は、「下請け」というかたちではなくて、「一緒にものづくりやっていきましょう」というパートナーの意識でお互いに距離を縮めながらやっていける方に活用していってもらいたいです。

発注した企業:株式会社フェリシモ
受注した事業所:多数
受注内容:クラフト

制作:ふくしワザ編集部